乳酸菌とは?
実は乳酸菌には、さまざまな種類があります。効果もよく知られる整腸作用だけでなく、腸の老化を防いだり、最近では花粉症やガン予防への効果など、複数の効能が確認されています
乳酸菌とは名前の通り、体に有用な菌の一種。乳糖やブドウ糖といった糖類を養分にして増えていく過程で、大量の乳酸を作り出し、エネルギーを生み出す物質の総称です。乳酸菌と聞くと一つの成分を連想しがちですが、ヨーグルトに使われている乳酸菌だけでも、サーモフィルス菌、ブルガリア菌、カゼイ菌、ガセリ菌、ビフィズス菌などさまざまな種類があり、それぞれに異なった効果効能があります。
ヨーグルトやサプリなどでよく「乳酸菌を生きたまま腸へ」といった広告を目にしますが、乳酸菌には腸内バランスを整える作用があり、便秘の予防や改善に大変効果があるといわれています。それ以外にも、腸の老化を防いだり、免疫力を高めることで花粉症やガンを予防するなど、体の中の乳酸菌を増やすことで、さまざまな疾病、症状から私たちを守ってくれるのです。
花粉症対策にも活躍する乳酸菌
最近の研究により、乳酸菌には体内の免疫バランスを整え、花粉症をはじめとするアレルギー症状を改善させる働きがあることが解明されました。
そもそも花粉症とは、アレルギー症状の一種。体内に入ってきた花粉を体外に排出しようと、人体の免疫システムが過剰に反応し、ひどいくしゃみや鼻水を引き起こします。このアレルギー発症に大きく関係しているといわれるのが、2種類の免疫細胞「Th1細胞」と「Th2細胞」。両者のバランスが保たれている間は免疫が適正にコントロールされますが、両者のバランスが崩れ、Th2細胞だけが増殖してしまうことで花粉症になるといわれています。
しかし乳酸菌にはそんな花粉症をひきおこすTh2細胞の増殖を防ぎ、もう一つの免疫細胞であるTh1細胞を活性化させる働きがある為、乳酸菌を含む食品を積極的に取ることで症状の予防や改善ができると考えられています。花粉症対策は早めに行ってこそ効果が期待できるので、症状が始まる数カ月前から乳酸菌の摂取を心掛けると良いでしょう。
自分に合った乳酸菌を選ぶことが効果実感への近道
乳酸菌にはさまざまな種類があり、効果にも違いがあります。それぞれの作用を知って、自分に合った乳酸菌を選ぶことが症状改善につながります。
例えば「LG21(Lactobacillus Gasseri OLL2716の頭文字)」。これは、胃ガンや胃潰瘍などの原因とされるピロリ菌を減少させる効果が高い乳酸菌として知られています。日本人のピロリ菌感染率は約5割とかなりの高比率ですが、とりわけ感染率が高いのが、50代以上。なんとその割合は約7割といわれ、ピロリ菌対策を心がける人が増えているそうです。さらに、ピロリ菌は一度感染してしまうと、自然に消えることがなく、場合によっては胃ガンにまで発展する恐れもあるので、大きなトラブルを引き起こす前に乳酸菌でケアするのも効果的です。
ほかにも、整腸作用に優れた「LB81」や生きたまま胃や腸まで到達する「BE80」や「BB536」。日本人の胃腸内からの検出率が高く、胃腸内で長生きする「ガゼリ菌SP株」など、各メーカーの研究開発で体に効果のある乳酸菌が続々と商品化されています。それぞれの乳酸菌の特長を知り、自分の健康目的に合わせてヨーグルトやサプリを選ぶことが効果の実感を早めてくれることでしょう。
乳酸菌を摂取する際の注意点
安全性が高いといわれる乳酸菌ですが、妊娠中・授乳中、牛乳アレルギーをお持ちの方は要注意!バランス良く、継続して摂取することを心掛けましょう。
ただし、子どもが摂取した場合、ごくまれにですが下痢になる可能性があります。また、妊娠中の方、授乳中の方は体がデリケートになっている時期なので過剰な摂取を避けましょう。中でも、気をつけなくてはならないのは、乳酸菌製剤に使用されている牛乳成分によるアナフィラキシー様症状(特定の物質により生じるアレルギー反応)。そのため、牛乳にアレルギーのある方はとくに要注意!万が一、症状が引き起こされた場合はただちに適切な処置を行ってください。
どんな有用成分もそうですが、安全性が高いからといって、一度にまとめて摂取しても、多大な効果が期待できるわけではありません。多くの食品から、継続的にバランス良く乳酸菌を摂取するよう心掛けましょう。