タウリンとは?
たんぱく質が分解される過程でできるアミノ酸の一種(含硫アミノ酸)。人間の体にとって、必要不可欠な成分で、さまざまな効果のある優れた栄養素です。疲労回復や病気の予防に有効であるというだけでなく、乳幼児の発育にも欠かせない健康成分です。
タウリンといえば魚介類のイメージが強いですが、人間の体にも多く存在する成分。心臓や筋肉、肝臓、網膜などあらゆる臓器や組織に含まれており、体重の約1%(60kgの人で60g)がタウリンであるといわれています。中でも、心筋などの筋肉に全タウリン量の約70%が存在。生命活動に大きく関わる臓器に存在していることから、タウリンは生命にとても重要な役割を担っていると考えられています。タウリンといえば大人向け…と思われがちですが、実は子供や赤ちゃんにとっても大切な成分!タウリンは人間の体でも合成することができますが、乳幼児だと十分な量をつくることができません。タウリンは乳幼児の脳細胞や網膜の発達には必須。その為、生まれたばかりの赤ちゃんは母乳からタウリンを摂取するといわれていますが、これだけでは不足する恐れもあるので、育児用粉ミルクにはタウリンが添加されるようになりました。
また、体には正常な状態に保とうとする生体恒常性という働きがあります。生体恒常性とは、体温が上がると汗をかいたり、ウイルスを排除したり、傷を修復したりする機能のこと。タウリンは、この作用にも大きく関わっており、疲労回復効果以外にもさまざまな病気の予防にも有効です。
生活習慣病の予防&改善に効果が!
糖尿病や心筋梗塞、心臓病などの生活習慣病の予防&改善に効果があります。またタウリンは目の網膜にも多く含まれる為、網膜を刺激から守り、目の疲労回復にも有効であることがわかっています。
栄養ドリンクの主成分として、滋養強壮のイメージが強いタウリンですが、疲労回復以外にも多くの働きが立証されています。一つはインスリンの分泌を促し、血糖値を下げる効果。糖尿病は血糖値が高くなることで起こる病気ですが、タウリンの摂取ですい臓の機能を高め、インスリンの分泌を促進することで、糖尿病の予防や改善につながるといわれています。
また、タウリンには胆汁の分泌を促進する働きもあります。血中コレステロールや中性脂肪が増えると動脈硬化になり、心筋梗塞や脳梗塞を発症する恐れがありますが、胆汁には脂肪を分解し、血中のコレステロール値を下げる効果があることがわかっています。胆汁の量が増えるとコレステロールの上昇を抑制できることから、タウリンは動脈硬化の予防にも効果的なのです。
タウリンは人間の体に多く含まれる成分ですが、目の網膜にも存在し、網膜を守ってくれています。その為、タウリンは目の疲労回復にも効果があるといわれており、目薬などにもタウリンが配合されています。さらには、心筋に多く存在するタウリンを補給することにより、心臓の負担を下げる効果も。心不全などの心臓病の予防、不整脈の改善にもタウリンはいいのです。
お酒が好きな方にうれしいタウリン
タウリンにはアルコールの分解に関わり、肝臓の負担を軽減する働きもあります。血中コレステロールを下げる効果もあることから、お酒を飲む方の体をマルチでサポートしてくれます。
お酒のおつまみによくスルメがいい…といわれていますが、その理由はタウリンが多く含まれているから。意外に知られていませんが、スルメの表面についている白い粉がタウリンです。タウリンにはアルコールへの作用だけでなく、コレステロールを下げる働きもある為、お酒を飲む方の体をあらゆる面から守ってくれるのです。
一方、タウリンは筋肉に多く含まれていることから、筋肉の収縮力を高める効果が!筋肉への働きかけから、むくみの予防&改善も期待されています。また、筋肉の収縮力が高まることで、腸の動きも改善され、便秘解消にも効果的といわれています。
さらに、血液の悪玉コレステロールを排除してくれるタウリンには、血液サラサラに効果があることがわかっています。血液循環が良くなり、新陳代謝が活発になることで、体内の脂肪が燃焼しやすくなるという研究報告もあります。タウリンだけで即ダイエット…というわけではありませんが、バランスの良い食事と適度な運動にタウリンをプラスすることで、理想的なダイエットが実践できるのです。
タウリンを摂取する際の注意点
カキやハマグリ、イカなどの魚介類に多く含まれている為、食事からの接種も可能。1日の目安量は800㎎前後といわれていますが、体への強い効果を期待するなら1,000㎎以上というデータも…。ただし、過剰摂取しても体外に排出されてしまう為、継続して摂るのが◎。
食事から摂取するには魚介類が◎。カキやハマグリ、ホタテ、イカ、タコなどにはとくに多く含まれており、魚類においては血合いの部分に多く含まれています。そこで注意したいのが、摂取の方法。生の食品に含まれているタウリンは焼くと30%、煮ると50%も減少するというデータがあります。また、タウリンは水溶性の為、食材を煮た場合は煮汁ごと摂るようにするとGOODです。
タウリンは医薬品にも使われるなど、古くから健康成分として活用されている為、安全性の高い成分です。なお、タウリンは過剰に摂取しても、摂り過ぎた分は体外に排出されます。この為、摂取し過ぎても副作用が起こる心配はありません。1日の摂取目安量は800㎎前後といわれていますが、体への効果を強く発揮させるには1,000㎎以上…というデータもあります。ただし、1度にたくさん摂っても排出されてしまうので、毎日継続して摂る方が良いでしょう。
タウリンを効率良く摂るには、栄養ドリンクなどのサプリメントが◎。ただし、カロリーやカフェイン、糖分が気になるので常用は避けた方が良いかもしれません。